『スピード』、『デンジャラス・ビューティー』、そして『あなたは私の婿になる』などコメディー出演が多いサンドラ・ブロックが、久しぶりに挑んだシリアス映画、『幸せの隠れ場所』(原題:The Blind Side)のお話です。

あらすじ

母親がドラッグにおぼれ、幼い頃から里親を転々としていたマイケル。その体格と運動能力から白人だらけのキリスト教系の高校への入学が許可されました。しかし、勉強はさっぱり分からず、周りにも馴染めない。持ち物はビニール袋に入った着替えだけ。一方、優しい夫と素直でかわいらしい子供たちに囲まれた幸せな家庭を持つリー・アン(サンドラ・ブロック)は、豪華な家、きれいな洋服、女友達と楽しむ高級ランチを満喫し、アメリカ南部では誰もがあこがれる生活を送っていました。そんな彼女の目に留まったのは、寒い雨の夜、傘も差さずに歩くマイケルの姿。どこへ行くのかと問いただすと、「体育館に向かっているんだ。暖かいところで眠りたいから。」と、答えるマイケル。リー・アンはマイケルを自分の家に迎え入れます… 

この映画は実話がもとになっているヒューマンドラマです。
格差が広がる日本に住んでいる私にとっても、他人事とは思えないストーリーでした。
ホームレスになってしまった、貧しい生活を強いられてしまった人達に、多くの人は「努力が足りなかった」とか、「行政や企業がなんとかすればいい」などと言ってしまいます。でも、これってただの言い訳なような気がしませんか?
彼らの多くは努力したけれど、機会に恵まれなかった、頼れる人がいなかっただけなのかもしれません。

もちろん、家に知らない人を迎え入れるのはハードルが高すぎますが、私たち一人ひとりが周りに目を向けて、小さなことでもいいから誰かを助ける努力をするべきだとつくづく感じさせてくれる映画でした。

正しいことをする勇気

彼女が演じたリー・アンは、お金持ち女性にありがちなうわべだけの優しさや傲慢さが無く、誰とでも平等に会話をしています。負けず嫌いだけれど、優しさを素直に表現できない不器用な部分を持っている所にはとても共感がもてました。そして、周りからどう見られているのか全く気にせず、自分の意思と判断で物事を決めてゆく強さは尊敬してしまいました。

リー・アンと彼女のブランチ仲間との間で交わされる会話がとっても印象的です。
いつも通り、リー・アンと一緒にランチを楽しんでいる友人たちはマイケルの存在に疑問を抱いています。マイケルがリー・アンの夫が営むファーストチェーン店の常連になるものなら、お店の売上が落ちるという人さえ。

そんな彼女たちにリー・アンは

リー・アン
I don’t need y’all to approve my choices, alright? But I do ask you to respect them. You’ve no idea what this boy’s been through.And if this is going to be some running diatribe, I can find an overpriced salad a lot closer to home.
(みんなから認めて欲しいなんて思ってないわ。でも彼らを卑下するのだけはやめてよ。マイケルがどんな道を歩んできたのか知りもしないくせに。これ以上私のやることに口出しするようなら、高いサラダなんて家の近くでもさがせるわよ。)

ぴしゃりと言い放ったリー・アンを目の前にし、態度が一変する友人たち。

友人
Leigh Anne, I’m so sorry. We didn’t intend to—
(ごめんなさいね。そんなつもりは無かったのよ。)

I think, what you’re doing is so great. To open up your home… to him.
Honey, you’re changing that boy’s life.
(すばらしいことをしていると思うわ。住む場所を提供してあげるなんて。
あなた、彼の人生を変えているのよ。)

リー・アン
No.He’s changing mine.
(違うわ。彼が私の人生を変えてくれているの。)

しかし友人たちからは、年頃の娘コリンズのことを心配する声も。

Aren’t you worried, I mean, even just a little?
He’s a boy, a large, black boy, sleeping under the same roof.
(あなた、心配じゃないの?
だって彼は男でしょ、しかも大きい黒人よ。同じ屋根の下で寝ているなんて…)

Shame on you.
(そんなことを考えるあなたたちこそ、恥を知るべきだわ。)

支援を受け入れる素直さ

リー・アンのような人がもっと増えてくれればと思う反面、それだけではだめなのではとも思ってしまいます。
日本社会では「誰かに助けてもらう=人の迷惑になる」と考えている人が多いような気がします。「人の手を借りる=自分ひとりではできない」と思い、自分のプライドを守る為、頑なにヘルプを拒む人がいます。この映画が成り立ったのは、リー・アンの助けを受け入れたマイケルの素直さと純粋さのおかげかもしれません。

という私も親や友達の助けを借りずに、何事も自分で決めて解決してきたことを誇りに思っている部分があります。でも、誰かを頼ること、誰かを助けてあげることって良い人間関係を築く為には大切なことなんですよね。
『幸せの隠れ場所』、学びの多い映画でした。

P.S.
以下は私なりに考え出した「私でも出来ることリスト」です。
― 新宿・渋谷などで良く見かける Big Issueを買ってみる
― 使わなくなった家具や家電品、着なくなった洋服は処分するのではなくリサイクルや寄付をする
― 身なりや学齢、仕事や収入で人を判断しない

Comments are closed.