浅草の老舗映画館や渋谷のシアターN渋谷、そして銀座テアトルシネマなど、独立系の映画館の廃業が相次いでいます。映画ファンとしては非常に悲しいニュースです

さて、何故最近、このような小規模映画館が次々と閉館しているのでしょうか。その原因は映画のデジタル化が関わっていると言われています。

デジタル化が始まると…

まずは、映画をデジタル化するとどのようなことが起こるのか説明していきますね。
映画のデジタル化には様々なメリットがあります。
・高いフィルムを使う必要がないので、製作コストが削減できる。
・フィルムをプリントする手間がかからないので、配給の時間を短縮できる。
・画質が悪くなる可能性が低い。
なんだか、いいことずくめだと思ってしまうのですが、実はそれだけではなさそうです。

現在ミニシアターや配給会社を悩ませているのは、デジタル化に伴うコストの問題です。

まず、デジタル映画を上映するには、デジタルに対応した上映設備を整えなければいけません。この機器を導入するには700万円~1千万円かかるといわれています。小規模な映画館にはこの金額はちょっと大きすぎますよね。

そこで考えられたのが、VPF(Virtual Print Fee=仮想プリント代)というシステムです。VPFはいわばデジタルシネマ設備のリース代。映画一本あたり配給会社が7~9万円、映画館が2~3万円を、VPFサービス提供会社に支払う仕組みです。

シネコンに有利、ミニシアターに不利なVPF

これまで映画制作はフィルムを使って行われてきました。映画が完成すると、ます、配給会社が映画のフィルムを上映劇場数プリントします。プリント数によってコストは変動するようですが、だいだい20万円前後なのだそうです。上映映画館が100館あった場合、配給会社は20万×100館=2000万円をかけていました。

映画がデジタル化されると、今までフィルム一本に20万円かかっていたのが、9万円前後のリース料で配給できる。配給会社からするとおいしい話に聞こえるのですが…

実はVPFシステムを導入できない、取り残されてしまう会社があるのです。

それは単館系映画館に映画を提供している配給会社やミニシアターです。こういった配給会社は2~3本ほどのフィルムを、全国のミニシアターに順番に回して使っているのが現状です。フィルム一本のプリント代が20万円でも、5館に回す事ができれば、一館あたり4万円程度です。デジタル化されるとこの金額が一気に7~9万円に跳ね上がってしまいます。そこでデジタル機器の導入を躊躇する配給会社やミニシアターが増えているのだとか。

上映できない傑作映画が増えてくる?!

通常、映画館は興行収入の50%を配給会社に支払います。配給会社としては、VPFの9万円を賄うために、約20万円の興行収入を出さなければいけない。ミニシアターの場合、劇場の規模も小さいので、当然興行収入も少なくなります。特に人口の少ない地方にあるミニシアターは、この20万円の興行収入を出すのが非常に難しいのだそう。

映画芸術DIARYにミニシアターの興行収入に関するデータが載っています。上映している映画の半数以上が興行収入20万円以下という、恐ろしい結果になっています。

20万円以上の利益が見込めそうに無い作品は、公開を控えるなんていうこともありえそうですね。さらに、アメリカでは急速にデジタル化が進んでいますので、今後アメリカから輸入される映画のほとんどがデジタルになってきます。つまり、VPFを導入しなければ、今後新作が上映できないのです。けれど、VPFを導入すると経営難に陥るという、最悪の状況に直面しているのが今のミニシアターなのです。

これは、地方に限った話ではなさそうです。実際に、東京の小規模映画館は閉館し始めていますし。

単館で公開されて、じわりじわりと人気を増していった素晴らしい映画はこれまでも沢山ありました。そういった映画が「興行収入が見込めない」という理由で、公開されないなんて悲しいですよね。

映画のデジタル化に関する問題、なんとか解決の糸口を見つけていって欲しい!!

 

【参考サイト】

脚本家の荒井晴彦さんが運営するサイト『映画芸術DIARY』
http://eigageijutsu.com/
映画を見る・作る・届けるを共有するプラットフォーム『シネレボ!』
http://d.hatena.ne.jp/cinerevo/

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