ミシェル・ファイファーの美しさが際立つ『ホワイト・オランダー』。4人の美しい女性の顔とホワイト・オランダーの花がDVDカバーを飾っていました。4人の人生が交錯する恋愛モノを期待して手に取ったのですが、内容は全く違っておりちょっとびっくり。

あらすじ

15歳のアストリッド(アリソン・ローマン)は芸術家の母、イングリッド(ミシェル・ファイファー)と二人暮しをしています。美しく才能があるイングリッドはアストリッドの自慢であり、悩みでもありました。芸術家として厳しい世界を生き抜き、浮世離れした生活を送るイングリッド。自分の作品に没頭するあまりアストリッドの学業は二の次になることもしばしば。そんなある日、イングリッドが恋人を殺害し逮捕されてしまいます。たった一人の親を失ったアストリッドは福祉センターに引き取られ、里親を転々とするはめに…

母娘の理想の関係って?

この物語は母と娘の間に生まれる特別な関係を描いています。唯一無二の素晴らしい関係になるのか、毒を帯びた破滅的な関係になるのかは当事者次第です。

閉鎖された世界の中で育ってきたアストリッドにとって母親の教えは全てでした。しかし母親が刑務所に収容され、アストリッドはたった一人で外の世界にとり残されてしまいます。この事件はアストリッドを悲しませると同時に、彼女の自立心を試し、家族とは何かを理解する良い機会となるのです。

母親のあり方十人十色

この映画には、アストリッドを取り巻く4人の女性が登場します。母親であるイングリッドは、アストリッドの保護者であり、指導者であり、伝道者でした。里親としてアストリッドを引き取るスター(ロビン・ライト)は、過去の過ちの罪滅ぼしをするためにキリスト教信者となり、孤児を育てます。寂しい結婚生活を送るクレア(レニー・ゼルウィガー)は、アストリッドを養子に迎え孤独を満たそうとしています。ビジネスを営むレナはアストリッドを子どもとしてではなく、働き手として受け入れます。母親役を務めるはずの女性たちはそれぞれ問題を抱えアストリッドと歪んだ関係を築いてしまうのです。

子ども達に何を教えたらよいのか、そしていつどのようにして教えるべきなのかは子どもを持つ親として、そして一人の大人として大きな課題です。子どもを沢山愛してあげたいけれど、過保護すぎる親にはなりたくない。社会のルールを守ることは大切だけれど、常に問題意識を持ち、自分の頭で考えられる人になって欲しい。相反する内容ばかりですよね。結局は、何事もバランスなのかもしれません。

完璧な親なんていない

この映画を観ていると、子どもにはいろんな人や世界と触れさせ、多くの価値観を学ばせるのが一番良いのではないかと思えてきます。アストリッドのように15歳ともなれば、何か正しく何が悪いのか自分で判断できる年齢です。そしてこの時期は、親は完璧ではなく良いところも悪いところもあり間違えも犯す人間であるんだと理解するようになる頃。この節目に子どもとどれだけオープンなコミュニケーションをとれるかが鍵になってくると思うのです。

様々な価値観と愛情の表現方法を経験したアストリッドは、自分なりの人生を見出すことができるのでしょうか。そして、独善的なイングリッドの束縛から逃れることができるのでしょうか。

美しい女優達が演じる歪んだ愛情表現は見ごたえがあります。そして、オーディションを勝ち抜いた末にアストリッド役を得たアリソン・ローマンは、繊細な少女が自分を見出す姿を細やかに演じています。

ちなみにホワイト・オランダーは日本語で白い夾竹桃(きょうちくとう)。強く美しく生きるために毒を放つ花なのだそう。花言葉は「危険・恵まれた人」ですって。登場する女性たちの誰もが心の中に毒を秘め、その毒は周りを傷つけると同時に自分を蝕んでいきます。毒のある美しさを堪能してください。

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