2007年に公開されたアイルランド映画『Once ダブリンの街角で』は、ダブリンの街角で出会った男女が音楽を通じて心を通わせていくストーリー。音とハーモニーという絆につながれた、恋人とも友人ともいえない二人の微妙な距離感が心地いいのです。

あらすじ
ダブリンの街角で穴のあいたギターを弾き続ける男性。ある夜、彼がオリジナルの曲を弾いていると若い女性が声をかけてきます。「どうして昼間自分のオリジナルの曲を弾かないの?」「その曲は誰のため?」「どうして他の仕事をしないの?」あまりにも率直な質問に不意をつかれ戸惑う彼ですが、彼女の純粋さと秘めた才能に少しずつ惹かれていきます。

見所はもちろんプロのミュージシャンである主演の二人の歌声です。男性を演じたグレン・ハンサードの声は力強くって時に荒々しい。女性を演じたマルケタ・イルグロヴァの声は繊細で憂いがある。二人の完成されすぎていない声が、曇りがちなダブリンの街に上手く重なって、ストリートっぽさ(ミキサーを通さない新鮮さとでもいいましょうか)を感じさせました。

私もこの二人のように音楽で自分を表現できたらいいなぁって思う時があります。面と向っていうのは恥ずかしいことでも、音にのせると素直に表現できることって沢山ある気がするんですよね。だから世の中にはラブソングが溢れているのかも…

無名の監督が作ったインディー系映画だったのですが、劇中にちりばめられた美しく力強いオリジナルの曲が観客の心を魅了したのでしょう、すぐさま世界中で人気を博します。

そして先日、3月18日(日)、『Once ダブリンの街角で』はNYのブロードウェイミュージカルとして初好演を終えました。すでにオフ・ブロードウェイ作品としてミュージカル公演を行っていたようですが、絶大な人気を誇り、ついに正式なブロードウェイ作品へと昇格。煌びやかなブロードウェイのショウとは違い、飾り気が無く純粋で正直なストーリーで綴られた『Once ダブリンの街角で』は、NYに新たな共鳴を引き起こすかもしれません。

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