『プライドと偏見』を手がけたジョー・ライト監督による、『つぐない』という切なく美しい物語を紹介します。

1935年のイギリス。セシリア(キーラ・ナイトレイ)とブライオニー(シアーシャ・ローナン)は美しい自然の中に佇む邸宅で恵まれた生活を送っていました。セシリアは庭師のロビー(ジェームズ・マカヴォイ)に抱く恋心に気付き、二人は愛を確かめ合います。しかしブライオニーの勘違いによってロビーが逮捕され、二人は引き裂かれてしまうのでした。ロビーが牢獄生活を強いられている中、第二次世界大戦が勢いを増し、彼自身も兵士として出征することに…

愛し合いながらも引き裂かれてしまう二人を演じたのはキーラ・ナイトレイとジェイムズ・マカヴォイ。キーラの透き通るような肌と華奢な骨格はイギリス上流階級っぽさを醸し出し、素直になれないツンっとした感じがぴったりでした。邸宅の庭師を演じるジェームズは温かみがあって、とっても誠実。階級差をいともせず、仕事に勉強に精を出すジェントルマン。そして多感で想像力豊かな13歳の少女を演じたのはシアーシャ・ローナン(『ラブリー・ボーン』)です。

13歳はちょうど中学校に上がる頃。思春期に突入する時期で、いろんなことに興味が湧き多感で複雑な年齢です。映画界でも、13歳を扱った作品は沢山あり、『魔女の宅急便』もそのひとつですよね。『13ラブ30』は13の女の子が大人になり様々な経験をする話だし、『スタンド・バイ・ミー』に登場する男の子達は12歳前後だった気が。大人からは子ども扱いされ、心の中では早く大人になりたい。劇中でも、ロビーに子ども扱いされ、妹としか見てもらえないブライオニーが切ないのです。

この映画が深く心に響くのは、物語の舞台が戦争へと移り変わっているからかもしれません。戦争の勃発により多くの少女達は大人になることを強いられます。看護婦として休む間も無く働き、傷ついた兵士の死を見守る彼女たちは何を思ったのでしょうか。そして想像も絶するほど過酷な戦場で、愛する者の元へ帰ることを願う兵士達の姿には涙が溢れてきます。いつどこで息絶えるかも分からない状況だからこそ、愛し合えたはずの二人の幸せを奪い取った罪は大きいのかもしれません。

ロビーに淡い恋心を抱きながらも上手く表現できず、自分の空想に閉じこもってしまう繊細な少女、ブライオニーは、自分の犯した罪の重さを噛み締め一生をかけてつぐないます。彼女のつぐないは報われたのでしょうか?

ジョー・ライト監督の美しい映像が感動を増長させています。
理想と現実の狭間で繰り広げられる切ないラブ・ストーリーです。

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