2004年、アウトドア好きのアーロン・ラルストン氏の身を襲った実体験を映画化したのが、『127時間』。ストーリーは知っていたし、グロい映像を見るのは…なんて躊躇していたのですが、聞くのと観るのは大違いでした!

たった一人でブルー・ジョン・キャニオンに旅に出たアーロン。いつものように週末だけのロッククライミングを楽しむはずが、落石に右腕を挟まれ一歩も身動きが取れなくなってしまうのです。持ってきた食料と水には限りがあり、朝晩の温度差が激しいキャにオンでは体の衰弱は激しい。持ち合わせたツールで岩を動かそうと幾度となく試みるのですがピクリとも動かない。一刻一刻と生命の限界が近づいていく。極限の中で彼が見たものとは? そして彼が生きるために下した決断とはいったい?

生きて帰りたいという生命力、様々な方法で岩を持ち上げようとするチャレンジ精神、そして、最後までユーモアを忘れなかった心の強さに圧巻です。主演はジェームズ・フランコ。彼のワンマン・ショウと言ってもいいくらい、観客は彼の演技を見続けることになるのですが、これが全く飽きないのです。むしろ彼の表情ひとつひとつに惹きつけられていました。

冒頭は家族からの電話にも答えないし、好きなことにだけ没頭してしまう自己中な奴なのですが、生きるか死ぬかという岐路に立たされて初めて、これまで自分が身勝手に生きていたかを悟ります。家族や恋人、友人達をうっとうしがり傷つけてきた。感謝の言葉の一つもかけてあげられなかった。今までどれだけ自分が多くの人に支えられてきたか… 様々な思いがアーロン頭を過ぎります。と同時に、「生きたい」という胸を焼くような熱い渇望も。

人はよく死ぬ間際に自分の人生を振り返るなんていわれていますが、死を覚悟した人も同じく、これまでの人生を回顧し、これから自分が進むべきはずだった人生を夢見るのですね。ただアーロンという主人公が特別なのは、平常心と希望を忘れなかったこと。そして、どんな手を使ってでも「生きる」という選択をしたこと。

絶望的な環境下にいながらユーモアと希望を忘れさせない世界観と映像美はすごい。
『スラムドッグ$ミリオネア』を手がけたダニー・ボイル監督が送る『127時間』、必見です!

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