レズビアンカップルと二人の子ども達を描いた『キッズ・オールライト』。ちょっと変わった家族構成が引き起こすゴタゴタ劇を描いていると思いきや、そうではありません。彼女らが抱える家族の問題は、シングルマザーであろうと、核家族であろうと、子宝に恵まれた大家族であろうと、どんな家族でも直面する普遍的な問題です。

同性愛者が築いた家族なんていわれても、ピンとこないかもしれません。日本では、同性同士の結婚は認められておらす、法に適った精子バンクもありません。一方、アメリカでは複雑な家族構成が成りえます。精子バンク制度が整っており、女性が精子提供を受けて妊娠をすることが可能です。『キッズ・オールライト』で描かれている母親二人も精子バンクを利用して妊娠を果しました。アネット・ベニング演じるニックは長女のジョニを、ジュリアン・ムーア演じるジュルズは弟のレイザーを出産しています。精子提供者は同じ男性ですので、ジョニとレイザーは血の繋がった姉弟です。

事の発端は息子のレイザーが精子提供者に合いたいと言い出したことでした。アメリカでは、双方(提供者と家族)の了解があればお互いに連絡を取り合うことができるらしく、二人の子どもはいとも簡単に提供者のポールに会うことができました。血の繋がった男性の存在に心を躍らせる二人。突然の電話に困惑するポール。この微妙な関係が長年築いてきた家族のバランスを崩していき…

本当の夫婦って何なのでしょう。理想の家族のあり方ってどんなものなんでしょう。

アメリカでは現在も同性間結婚が議論されています。映画の舞台になっているカリフォルニアでは、一度同姓結婚が認められたものの、現在のところ同性間の結婚は実務上できない状況です。同性結婚を禁止する州もあれば、パートナーシップ法といった、夫婦とほぼ同等の権利を同性カップルに認めている州もあります。夫婦関係の複雑化に加え、精子提供で産んだ子ども、養子として向かえた子ども、再婚して増えた子どもなど、現代の家族のあり方は多様化しています。

どのようなカップルが親として相応しいかなんて一概には言えませんが、一緒に泣いて、一緒に笑って、一緒に時間を共にするのが家族。

息子の交友関係に不安を抱く親。
母親業とキャリアの狭間で悩む女性。
仕事で疲れきっていて、十分なコミュニケーションがとないカップル。
子どもに完璧を求め、口うるさくなる母親。
性に敏感になる娘。
親の干渉を毛嫌いする子ども達。

これらすべてが「家族」に紐付いてくる面倒くさい人間関係。でもこの面倒くさい関係が家族の証なんですよね。家族というのは、長い時間と手間と労力を費やして築いていくもの。この映画は、親の性別が何であろうと、愛さえあればキッズ・オールライトなのだということを教えてくれます。

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