大切な人に忘れられる怖さ…

『君に読む物語』や『アウェイ・フロム・ハー』といった作品ですでに描かれているテーマですが、私にとってはやはり直視したくない現実です。

年を取るにつれて、体だけではなく、頭も衰えてくるのは避けられないこと。けれど、最愛の人が自分のことを忘れてしまったら。そして自分が、大切な人のことを認識できなくなってしまったら、私はいったいどうするだろう… 病気を受け入れ、病気と共に生きる事ができるのでしょうか。それとも、記憶をよみがえらせるために必死になり、思い出にすがりつくのでしょうか。

家族のことを忘れて一人さびしく暮らすロバート(マーティン・ランドー)。忘れられても夫を愛し続け、再び夫の人生に入っていこうとするメアリー(エレン・バースティン)。傷つくことを知りながらも、夫に寄り添い、二人に残された時間を大切に過ごそうとする彼女の勇気と強さに涙が溢れました。

メアリーがロバートを見る瞳が優しさに溢れています。二人が街中を散歩する姿、音楽に合わせて踊る姿、手を繋いで歩く姿、愛を誓う姿、すべてが切なく愛しい。まさに、「やさしい嘘」に包まれています。
原題は”Lovely, Still”ですが、私は邦題の方が断然好きです。

今、自分の隣には大切な人がいて、微笑みかけてくれている。
気持ちがつながることって奇跡なんだなと思える作品でした。

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