ブラック・スワンでアカデミー賞主演女優賞を勝ち取ったナタリー・ポートマン主演映画『水曜日のエミリア』。恋愛、結婚、出産、家族… 語りたいテーマが沢山詰まった映画なのですが、ここでは「母になること」を中心に語っていきます。

あらすじ
新米弁護士のエミリア(ナタリー・ポートマン)が恋をしたのは妻子持ちの上司、ジャックでした。不倫から始まったエミリアとジャックの関係は結婚という形で成就します。しかしそんな幸せもつかの間、エミリアは生まれたばかりのイザベルを突然死で亡くしてしまいます。悲しみから立ち直れないエミリア。彼女のもう一つの悩みの種は、完ぺき主義でエリート志向の母親に育てられた継子ウィリアムの存在でした。彼女に心を開こうとしないウィリアムに苛立ち冷たく当たってしまうこともあり、いつしかジャックとの間にも溝ができはじめます…

女性にとって母親になるということは人生の最大イベントといっても過言ではないはず。小さな命を授かったことの重大さ、9ヶ月間お腹の中で赤ちゃんを育てるという責任感は経験した人しか分からないような気がします。

劇中にウィリアムはこんなことを言います。
「ユダヤ教では人は生まれてから8日目で人間になれるんだ。イザベルは人間じゃなかったんだよ。人間じゃない人の死を悲しんでもどうしようもない。」

エミリアの反応は皆さんにも想像がつくでしょう。
女性は妊娠が発覚したその時から母親になる準備ができているものです(男性は赤ちゃんの顔を見た瞬間に父親になるなんていわれていますよね、そうでない方も沢山いると思いますが)。女性は妊娠中から赤ちゃんの鼓動や動きを感じ、声と感情と愛情で会話し続けているんです。

心待ちにしていた娘の誕生は突然の死によってかき消されました。娘の死の責任を感じ自分は母親失格だと思うエミリアは、周りの言動に敏感になり家族や友人を傷つけてしまいます。さらにウィリアムとは喧嘩ばかり。医師であるウィリアムの母親から文句を言われ、担任の先生からも嫌な顔をされ、エミリアはさらに「ダメな母親」という負の連鎖に追い込まれてしまいます。

では、いい母親ってどんな人なんでしょう

・     子どもの安全を気遣える人

・     子どもを有名私立校へ入学させられる人

・     バランスのとれた食事を提供できる人

・     子どもに暴言をはかない人

・     自分の感情を露にしない人

上記のどれも上手くいかないエミリアは母親失格ですか?
私はそうではない気がします。だって、

・     もちろん子どもの安全は第一だけど、過保護になりすぎるのは子どもの為になりません

・     学校選択は親の考え方次第なので人の良し悪しは決められません

・     忙しい母親には手抜きが出来る食事も必要!

・     暴言の度合いにもよりますが、子どもをちゃんと叱れる親になりたいものです

・     母親だって所詮人間。難しい感情とどうやって向き合っていくかを話しあうのは立派な子育てだと思います

ウィリアムにとってエミリアは母親ではなくエミリア。だけど彼女は家族の一員で、いなくてはならない大切な存在。完璧な母親なんてどこにもいない。家族の中に自分の居場所があり、家族から必要とされているのなら、すでにステキな母親だと自信を持ってもいいと思います。

喪失を経験した女性の複雑な感情をナタリーが上手に演じています。
心温まる「再生」の物語です。

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