次々と人間の感覚を蝕む感染症が世界をおそった。始まりは嗅覚。自分自身が壊れてしまうほどの喪失感と孤独に襲われた後、鼻が利かなくなる。そして味覚。極度の飢えを感じ、手当たり次第にモノを食い尽くした後に失う。そして聴覚。怒りと憎悪に苛まれコントロールが利かなくなり、突如音が消える。原因不明の感染症に冒されながら、人々は何を感じ、何を思うのか…

あらすじを辿っていくと、パンデミック(感染病)を扱ったホラー映画のような気になってきますが、これは「愛」をテーマにした映画です。恋愛で誰かを傷つけ、傷つけられた経験のある二人が、世界の終りに出会い、愛し合い、求め合う物語なのです。

初共演を果したのはユアン・マクレガーとエヴァ・グリーン(『007/カジノ・ロワイヤル』)。残念ながらスクリーン上の相性はイマイチでした。感情表現が豊かなユアンと無表情のエヴァの温度差の違いは大きかった…

昔から極限の環境を共有した人達の間には強い絆が生まれるものですが、この二人の関係もその一つだと思います。ロマンチック・ラブというよりは運命共同体的な愛で繋がれた二人です。

いつどこで自分の感覚が失われるか分からない状況の中、人々はより一層、寄り添い合い、支えあいながら生きていく。予測不可能な事が起こった直後、人々は混乱状態に陥り、凶暴化するかもしれません。社会が秩序を失うことだって有り得ます。けれどこの映画は、多くのものを失った人々が、自分たちの中の「悪」に蝕まれるより先に、「善」を原動力として生きていく姿を描いています。

People prepared for the worst, and hoped for the best.
(最悪の事態に備えながらも、希望は失わなかった)

というフレーズが忘れられません。
人々は職場に戻り、今まで通りの生活を過ごそうと努力していきます。
3.11以降もこのような人々を多く見かけました。彼らのおかげで社会が回り始めたような気がします。

重いテーマを扱っており、感覚を次々と失うという身の毛がよだつような設定ですが、新しい環境に順応していく身体能力のすごさや、希望を失わない人間の強さを思い知らされます。

パーフェクト・センス』は2012年1月7日より公開です。

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