先日ご紹介した『ハンガー・ゲーム』、ようやく一作目を読み終えました。

ふぅ~、とりあえず一息。なにせ、『ハンガー・ゲーム』の過酷さは想像を絶するものですから。極度の飢餓、命を絶ちさえもする深い傷、終りが見えない恐怖… 今までに感じたありとあらゆる経験をたよりに、主人公カットニスが挑まなければならない壮絶な戦いを理解しようとしたのですが、やはりそれは難しかった。

残虐で痛々しい内容のストーリーですが、破壊的な描写の中にも愛や友情、信頼関係といった建設的て温かい要素がちりばめられていて、ぐいぐいと物語に引き込まれました。

なにより主人公のカットニスが魅力的です。といっても「カットニスのようになりたい」という憧れの念を抱いたり、「うんうん、わかるわかる」と彼女に共感するのでもない。ただただ、彼女の強さと純粋さに圧倒されてしまうのです。近年よく描かれていた等身大のヒロインとは真逆のタイプです。

幼い頃に父親を事故で亡くし、母親の心もどこか遠いところへ行ってしまった。小さな妹と母親を一人で養わなければならなくなったカットニスは、法を犯してまでも森で狩りをし、なんとか生き延びていました。彼女が必死で家族を守ろうとする姿、そして貧しい生活の中にささやかな幸せを見出す姿は痛々しい。

原始的な生活しか知らない彼女が一度大都市キャピトルに足を踏み入れるとそこには、カラフルな衣装をまとい、行き過ぎた化粧をし、原型がわからないほどの整形手術を施されたキャピタルの住人たちがいました。彼らの振る舞いやゴシップは面白いほど風刺的に描かれていますが、描写されている「格差」は現代のものとさほど変わりがないような… しいて言えば、現代的第12区に住んでいる人には狩りをする森がないというところぐらい。

第一作目はその名の通り「ハンガー・ゲーム」に費やされます。ゲームの設定も面白いのですが、やはり一番の面白さは参加者の駆け引きと戦術です。キャリアと呼ばれる裕福な地区で育った参加者は、幼い頃からハンガー・ゲームのための特殊トレーニングを受けています。一方貧しい地域からの参加者は自身強みを見極め、最大限に活かさなければ生存率はゼロに近い。もちろん、スポンサーの役目も大きな影響力があります。薬や食べ物などをいつどのようにして届けるのか。限られた資源をどのように利用するのか。次の一手が後の勝敗を決めるのです。

次々と参加者が倒れていき、生存者は片手で数え切れるほど。ついには勝者が決まり…
え? 勝者?
そうなんです。ハンガー・ゲームは第一作目で終了します。いい意味で期待を裏切ってくれました。勝者はいったい誰? そして次作の『ハンガー・ゲーム キャッチング・ファイア』ではいったい何が起こるの???

Comments are closed.