スーザン・コリンズによる『ハンガー・ゲーム』全3作、ついに読み終わりました!

エンディングがあまりにも素敵で最終章を何度も何度も読み返しました。ゲームの内容は過酷で悲惨なシーンがいやというほど出てくるのですが、素晴らしいエンディングのおかげか、不思議なほど幸せな余韻に浸れる小説です。

ただの娯楽小説と思ったら大間違い! 権力への問題提起がされ、登場人物たちが悩み、解答を導き出していく姿は未来の私たちなのかと錯覚してしまうほど。読者もまた彼らと一緒に悩み、自分なりの解答を捜し求めるはずです。不正解は沢山あります。けれど正解は何なのか… 私自身、あいまいな道標しか見つかっていない状況なので、近いうちにもう一度この小説を読み直してみようと思います。

以下は私が感じたキーワードです。

権力に対する「反乱」
キャピトルに住む住人たちの生活は煌びやかで、ご馳走と娯楽に溢れています。無駄で過剰な生活こそがステータスシンボルであるかのよう。一方、他の地区は、12区は炭鉱場、11区は植民地、6区は水産漁業、4区はテクノロジーといった具合に、キャピトルに奉仕する義務があります。産物はキャピトル住人のためであり、自分たちは食べ物もなく、十分な住まいもない。まるで封建制度ですよね。働けど、働けど暮らしは良くならずといった状況です。苛酷な環境から逃れる唯一の方法は、反乱。カット二スの勇敢な姿は多くの人々の心に火を灯すのです。

「暴力」vs「暴力」
権力に立ち向かうためには犠牲を出しても構わない。「仲間が殺されたから、相手も殺してやる」。戦争や内乱といった状況では、暴力の連鎖にから逃げられなくなります。カットニスと仲間達もまた同じような悪循環にはまっています。キャピトルの主席を殺せば、状況は変わるのでしょうか? 新たな主席が同じことを繰り返さないという保障はあるのでしょうか?

「再生」のために必要なもの
2度のハンガー・ゲーム、そして反乱軍のシンボルとして怒りを露に突き進んできたカット二ス。その過程であまりにも多くの死と直面しました。体も心もボロボロに疲れ果てた彼女を癒せるのは、ハンガー・ゲームで助け合ったピータ? それとも家族を守り抜くと約束してくれたゲイル?
ゲイルはこう言います。
“Katniss will pick whoever she thinks she can’t survive without.”
(カット二スは、生き残るために必要な人を選ぶはずだよ。)

母と妹を守る家族愛、仲間を守る友情、そして大切な人を守る愛情。愛は生きる原動力です。カット二スが自分の中にある愛情に気付き、受け入れるプロセスが見所です。

↑は私が描いたハンガーゲームのスケッチです。主人公カット二スの名前は植物のKatniss(くわい)が由来です。ちなみにくわいの葉は矢尻の形をしています。カット二スは「矢の一部」という意味なのだそう。カット二スの妹はプリムローズ。さて、白いバラとタンポポは誰でしょう?

『キャッチング・ファイア』 あらすじ
ハンガー・ゲームに第12区から出場したカットニスとピータ。母親と妹のプリムを守るため、なんとしてでも生き残ろうと必死に戦ってきたカットニスは、ゲームのルールの裏をかき、ピータと共に生き残ります。二人の勇敢な戦いぶりは、キャピタル重圧の下、苦しい生活を強いられた人々の心に火をつけたのでした。懐かしい12区に戻ったのもつかの間、カットニスは各地で反乱が起こっているとのニュースを聞きつけます。反乱者を抑圧するために、厳重な警備が各地で敷かれ、キャピタルにそむく者は今まで以上に厳しい処罰を受けることに。そしてまた、ハンガー・ゲームの時期がやってきました。75周年目のゲームには特別なルールが採用され、カットニスとピータは、再びアリーナでの戦いに挑まなければならないことに…

『モッキングジェイ』 あらすじ
生存者6人という時に、カット二スはゲームを終わらせる方法を新たに発見します。しかしその方法にはとてつもなく大きなリスクが伴いました。カット二スは運良く13区の人々に助けられるのですが、ピータはキャピトルの手中に。大昔にキャピトルに破壊されたはずの13区は、地下に巨大な軍事構造を築き上げ、核兵器を保有する軍事地区となっていたのです。13区の目的はただ一つ。キャピトル崩壊。カット二スは「反乱」のシンボルとして、13区とキャピトル反乱軍を勝利に導かなければなりません。彼女の運命はいったい? そしてキャピトルに囚われたピータの行方は?

作者はあとがきで、自身の父親がこの作品の基礎を築いてくれたと述べています。彼女の父親はアメリカ空軍に所属し、ベトナム戦争で戦っています。未来の子どもたちに戦争と平和について知ってもらいたいという父親の願いは、娘の手で説得力のある魅力的なストーリーとなったんですね。

Comments are closed.