『グレイト・ディベイター/栄光の教室』より心に響くセリフをピックアップしました。

デンゼル・ワシントン演じるトルソン教授が、ディベートの真髄を生徒に教え込むために何度も何度も復唱させたフレーズがこれ。

Melvin B. Tolson: Who is the judge?
トルソン:審判は誰だ?

Students: The judge is God.
生徒:審判は神である。

Melvin B. Tolson: Why is he God?
トルソン:なぜ審判は神なんだ?

Students: Because he decides who wins or loses. Not my opponent.
生徒:なぜなら勝敗を決めるのは審判であり、私たちの相手ではないから。

Melvin B. Tolson: Who is your opponent?
トルソン:君たちの相手は誰だ?

Students: He does not exist.
生徒:私たちに相手などいない。

Melvin B. Tolson: Why does he not exist?
トルソン:なぜ相手は存在しない?

Students: Because he is a mere dissenting voice of the truth I speak!
生徒:なぜなら相手とは私が語る真実の異議にすぎないから。

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次はディベートチームの一員であるジェームズの一言。
ジェームズはディベートチームの中で最年少。時に子ども扱いをされ、恋愛対象として見てもらえないけれど、芯が強くて心優しい少年。牧師である父親から厳しいしつけを受けながらまっすぐに育っていきます。威厳があり厳しい父親がジェームズに教え込んだ教訓の一つがこれ。

James Farmer Jr.: We do what we have to do in order to do what we want to do.
ジェームズ・ファーマー Jr.:私たちはしたい事をするために、しなければならない事をする

今しなければならない事(宿題や部活、勉強など)をこつこつやっていけば、将来必ず自分がやりたい事ができようになるという教訓。日々の努力をおろそかにしないことが大切。(私もよ~く自分に言い聞かせよう。そうは分かっていても、怠けてしまうのが人間の性なのですが…)

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映画のヒロイン、サマンサのセリフ。
当時女性が大学へ進むのはめずらしい時代。ましてや黒人女性は多々なる逆境を乗り越えてこなければ進学なんて考えられなかった。サマンサはディベートチーム初の女性メンバーとして抜擢されました。はじめはデータを並べるだけで、説得力に欠けていた彼女のスピーチですが、次第に感情がこもった彼女らしいスピーチが完成していきます。以下は「黒人は白人と同じ大学へ行くべきか」という論題に対するワイリー大学チームの意見。

Samantha: The state is currently spending five times more for the education for a white child than it is fitting to educate a colored child. That means better textbooks for that child than for that child. I say that’s a shame, but my opponent says today is not the day for whites and coloreds to go to the same college. To share the same campus. To walk into the same classroom. Well, would you kindly tell me when that day is gonna come? Is it going to come tomorrow? Is it going to come next week? In a hundred years? Never? No, the time for justice, the time for freedom, and the time for equality is always, is always right now!

サマンサ:州は現在、白人生徒の教育に黒人の5倍の税金を使っています。つまり白人だけが良い教科書を使えている。なんと残念なことでしょう。けれど先ほど私たちのディベート相手は、白人と黒人が同じ大学に通えるようになり、キャンパスや教室を共有できるようになるのは今日ではないと言います。それならどなたかその日がいつになるのか教えてください。明日ですか? 来週ですか? 100年後ですか?そんな日は訪れないのですか? いいえ。公平、自由、平等を獲得するのは今。今しかないのです!

サマンサのスピーチは男子生徒のようにスピード感のあるスピーチではありません。けれど感情に訴えかける力強いスピーチです。

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ディベート参加者は語彙に長けていなければなりません。言葉の意味だけでなく、言葉が引き起こす感情、さらには語源までも。

Melvin B. Tolson: Anybody know who Willie Lynch was? Anybody? Raise your hand. No one? He was a vicious slave owner in theWest Indies. The slave-masters in the colony ofVirginia were having trouble controlling their slaves, so they sent for Mr. Lynch to teach them his methods. The word “lynching” came from his last name. His methods were very simple, but they were diabolical. Keep the slave physically strong but psychologically weak and dependent on the slave master. Keep the body, take the mind.

トルソン:ウィリー・リンチが誰だか知っているかい? 誰か分かる人? 手を挙げて。誰もいないのか? リンチは西インド諸島にいた冷酷な奴隷オーナーの名前だ。以前、バージニア州の奴隷オーナーたちが奴隷たちを管理できずに頭を悩ませていた。彼らはリンチ氏を呼び寄せて、リンチ氏の手法を学ぼうとした。「リンチする」という言葉は彼の名字が由来だ。彼の手法はいたってシンプル、しかし非常に残酷だった。奴隷の身体は強く保つが、心をボロボロにし、オーナーなしでは生きられないようにする。体を残し、心を奪え、という教えだ。

皆さん、知っていました? 日本でも「リンチ」という言葉は使われています。しかし、この言葉の語源が実在した人の名前だったとは。そして彼の非道な行動がこの言葉に直結しているなんて…
以下はリンチ氏が1712年に奴隷オーナーたちへ向けたスピーチです。参考までに。
Willie Lynch Letter

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そしてもうひとつ。黒人に対する偏見が反映された言葉。

Melvin B. Tolson: Denigrate. There’s a word for you. From the Latin word “niger”, to defame, to blacken. It’s always there, isn’t it? Even in the dictionary. Even in the speech of a Negro professor. Somehow, “black” is always equated with failure.

トルソン:Denigrate(中傷する)。君たちの言葉だ。ラテン語「niger」からきており、defame(名誉を傷つける)、blacken(人格を傷つける)と言う意味だ。いつもそこにあると思わないか? 辞書にまでも。黒人の大学教授のスピーチの中でさえも。なぜか「black」はいつも失敗と同一化されてしまう。

言葉に秘められた意味。言葉の持つ力。言葉に託された感情。普段何気なく言葉を使ってコミュニケーションを取っていますが、ディベートやスピーチなど、はっきりとした目的をもって言葉を使う訓練も必要だなと思いました。スピーチの練習、どこでしようかしら。

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